前回の中国モラルない業界ランキングで、食品・医療業界を差し置いて見事2位を獲得した「石炭採掘場」。あんまり私達にはなじみのない世界ですよね


今日はそんな中国の過酷な石炭採掘場とそこに暮らす人々を描いて、中国国内だけでなく、海外でも大きな反響を呼んだ、

『盲井/Blind Shaftを紹介します。



 

 実はこの映画、第53回のベルリン映画祭で、チャン・イーモウの『英雄/ヒーロー』を破って銀熊賞を受賞、2003年にはフランスのドーヴィル・アジア映画祭で最優秀作品賞他5つの賞を獲得した、中・独共同制作の作品です。

 監督の李揚(リー・ヤン)、主演の李易祥(リー・イーシャン)もそれほど有名ではなく、そのせいか余計に人々の注目を浴びています。


 この映画は、人間性を奥深くまで描写した作品です。

 辺鄙な鉱山に住みついた二人組の男が、出稼ぎに来た人に「鉱山には良い仕事がある」と言って騙し、鉱山に連れてきます。そして真っ暗な石炭坑内でその人を殺し、殺害現場を事故が起きたように偽装してから、被害者の家族を装って鉱山主に賠償を請求するのです。


 二人はつぎつぎと人を殺害していき、人間としての良心を失っていきます。しかしある日、ある男の子を標的にするのですが、その子がまたとっても純粋でかわいい子で、詐欺師の一人は、自分を純粋に信じて頼ってくる男の子を護ろうとする良心と、金を稼ぎたいという貪欲さの狭間で、ジレンマに陥っていきます。
 しかし相方も、子供に情が移った彼に気づき始め……




 この作品はそのタイトルも表しているように、
ブラインド(暗闇)
となっている炭坑内でで、
ブラインド(自分を見失う)に陥った人間性を描写しているという二重の意味で作品に深みを与えています。


 ちなみに後日談で、撮影に使用された炭坑は、地理的条件の厳しい個人経営のところだったため、地下で20数時間撮影をして地上に上がってきた後、2時間後にはトンネルが崩落してしまった、というエピソードもあるようです。


 そんな過酷な背景の故か、人物の緊迫した心情のリアルさが良くにじみ出ています。


これを見れば中国の石炭業界事情が分かる!

労働者の生活は、経済発展した今日も変わりません。



         みんなでお風呂。

…しかしなんで中国人の家って新聞が壁に貼ってあるんだろう…

 うーん、中国の美的感覚を疑ってしまうのはこんな所からです…


 中国の映画にしては誇張なしのすごくリアルな、汚いところにフタをせず正面切って扱った勇気ある映画です。

 一応映画が見られる中国のサイトをリンク貼っておきますが、日本から見られるかどうか…試してみてください。


あっ ちなみに当然中国語字幕のみですが。


http://www.56.com/u34/v_NjUzOTQ0OTU.html

http://www.tudou.com/programs/view/Y7Q8i4HxAyM

http://www.ccdao.com/video/?26128-0-0.html